詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
ぼくは泣きながら目が覚めた。
ふだんは弟たちのことをこころにかけることはないのだけれど
夢を見たのだ。
船の上で暮らしている、貧しい弟たちを。
その姿は、まだほんの子供だったのだ。
指がキーボードをたたきながら
ぼくはいまも泣いている。
ぜったい許せない。
ぼくは何もしてやれなかった、ぼくも呪わしい。
ぼくは泣きながら目が覚めた。
どうして、こんな夢を見るんだろう。
どうして、こんな苦しみ方をするんだろう。
キーボードの文字盤がにじんでいる。
悲惨な夢だ。
たぶん、19世紀のイギリスかアメリカって感じの
暗いトンネルのような感じの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)