詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ハイマーにでもなればいいのだ。
たとえ、そう願うことで、
アルツハイマーよりももっとひどい病気にぼくがなってもいい。
弟たちは、弟の友だちと船の上で暮らしていたのだ。
ぼくの夢のなかだけれど。
どんなに、かわいそうだったか。
ぼくの父親も継母も好きなことをして暮らした。
ぼくたちを十分にまともな人間にすることはしないで
ぼくたちを甘やかし
好き勝手放題に振る舞う傲慢な人間に仕立て上げ
とんでもない非常識な人間に育て上げたのだ。
ぜったいに許せない。
ぼくの人生をめちゃめちゃにし
弟たちの人生をめちゃめちゃにしたあの二人はぜったい許せない。

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