くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
足りるかい、と、俺はさっきのバイトで手に入れた金を見せて言った、それももらったのかい、とおっちゃんは目で言いながら頭の中でレジを叩き、「おつりが出るよ、飲む金くらいは残るだろうさ」と言った、あとで取りに来るよ、と言って俺は近くをぶらぶらすることに決めた、カフェのそばでアミに会った、アミはこの街に居る男ならだれでも知ってる娘さ、その日はパンケーキを食わせてくれる相手を探しているらしかった、俺は声をかけてアミに仕事をさせてやり、パンケーキを食わせてやった、ありがとね、ごちそうさま、とアミは言って帰りかけた、おい、と俺は彼女を呼び止めた、「今日はこのあと用事あんのかい?」「ないけど、どうして?」自転車を
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