くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
 
し曲がっていたけど修理のおっちゃんに任せればすぐに直してもらえそうだった、タイヤは使い物にならなくなっていたので、絶対に交換する必要があった、タイヤ代を稼ぐ必要があるな…従業員が一人しか居ないガソリンスタンドで、そいつが給油に夢中になってる間に事務所に忍び込んで多めに拝借した、店に持っていくと、漫画に出てくる吸血鬼みたいなおっちゃんは鋭い眼光で自転車を隅から隅まで調べ上げた、「おまえ、これどうしたんだよ?」もらった、と俺は言った、嘘は言ってないぜ、もらいもんには違いないだろう、ふうん、とおっちゃんは唾でも吐きそうな顔をして言った、「タイヤとチェーン、ベアリングも変えないと駄目だな」これくらいで足り
[次のページ]
戻る   Point(2)