くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
 
の連中は本気でビビッててさ、誰も寄りつきゃしなかった、俺はどこにも居場所がなかったし、幽霊なんて信じちゃいなかったから、おあつらえ向きッてなもんだったんだ―おかしなことなかったのかって?何度かねえ、見たといえば見たよ、だけど、ほら、こっちもちょっといい気分になってたもんだから、あれが現実かどうかなんてまるで分かんねえ、もし現実だったのだとしたら、幽霊のほうが俺を見て呆れてたのかもしれないな、まあ、あんまり表情の無い娘だったから、なにを考えてたのかなんて知る由もないけどね―それはともかく、俺はそこでいい感じの自転車をひとつ見つけ出した、近頃じゃあまり見かけないごてごてしたデザインで、フレームが少し曲
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