くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
車だったぜ、あんまり素敵過ぎて上に乗ってた娘のことなんかほとんど思い出せないくらいさ…俺は街の粗大ごみ置場と化してる空地へと歩いて行った、そこそこマシな自転車の一台くらい拾えるんじゃないかと思ったからさ、咎めるような目はよしておくれよ、こちとらいつだって一文無しと来てるんのさ…おっと、そこの空地は本当は粗大ごみの捨場なんかじゃもちろんなくてね、ちょっと曰く付きの…幽霊屋敷が建ってた跡地なんだよ、俺が生まれたころからぼろっぼろの廃墟でさ、貴族の別荘くらいの大きさの屋敷さ、まあ、豪邸っていうには少し小さいのかな、っていうくらいのさ―俺、十五の時によくそこで過ごしてたんだ、過去になにがあったのか、街の連
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