くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
 
あるまいに、きっと、彼にとってそれは食べるための釣りではないのだろう、キャッチ・アンド・リリース、個人的な意見を言わせてもらうなら、そんなものは釣りとは言えない、釣りによく似た娯楽のひとつだ、だけどそんなことにこだわり始めたら、クレー射撃は果たして射撃と言えるのかというようなことを考え始めなければならなくなる、皿?馬鹿にしてるのかね、銃で狙うものと言えばなんだね、それはきっと獣か―人間であるべきじゃないのかい、なんてね、自転車が欲しいなと思った、なんでかっていうと、さっきその、射撃の話をしてる最中に女子大生と思しき娘が格好のいい自転車で細い魚のようにスーッと泳いでいったからさ、本当に見事な自転車だ
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