雪のバス停のお婆/月夜乃海花
きながら「そうですね」を繰り返すのだ。ここは老人ホームではない。あくまでも、冬の雪の積もったバス停の前である。一秒でも早くバスが来ることをひたすら願っていた記憶しかない。
そして、そんなお婆との関係は冬の間ずっと続いた。相変わらずお婆の言葉は何も聞こえないし、何もわからない。ただ、夕暮れの雪の中にお婆と私が居る。バスの排気が匂う中にちっぽけな世界があった。白い雪は車の排気ガスで茶色く汚れ、私も少しずつ成長してゆく。いつかは、お婆のようになってしまうのか?そのような不安すら覚えた。家族の誰にも相手にされずに、何処に行くのかもわからないまま、言葉が通じてるのかも理解できないが、本人は満足している
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