希望だったけれど叶わなくてもよかった/ホロウ・シカエルボク
はそんな懸命さを馬鹿だと思った、世界を、清潔なだけのつまらないものに変えていくのはきっとそんな連中なのだ、後ろから誰かが俺を追い抜こうとして肩をぶつけた、小柄な、猫背のピース臭い爺だった、そいつは俺を睨んでちっ、と舌打ちをした、ワン、と俺は陽気な犬の鳴声を返した、どうしてそんなことをしたのか分からなかったが、爺は妙に青ざめて脚を速めて俺から遠ざかろうとした、俺は初めわけが分からなかったが、爺の背中を見ているうちについさっき妙な死に方をした犬が道に転がっていたことを思い出した、俺は愉快な気分になって爺の後を追った、追いつかないように、見失わないように…爺がある一軒家の玄関に潜り込んでから、十数えてド
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