希望だったけれど叶わなくてもよかった/ホロウ・シカエルボク
 
出来なかった、そしてそれは、夢遊病的な感覚に致命的な安心感を付加した、だから俺は軽く絶望を覚えたけれど、そんなことは初めてじゃなかったから黙って脚を動かし続けていた、住宅地と住宅地の隙間、滑り台とブランコだけの、平均的住宅がひとつ建てられそうなくらいの敷地にこしらえられたつまらない公園と、使用者が居なくなって数十年は経つだろう入口のシャッターがひん曲がった倉庫、それからおそらくはつい最近まで古い住宅があったのだろう、穀物のような色のロープで仕切られた一角で野良犬が死んでいるのを見た、頭が潰れて、目玉が片方飛び出していた、何年も何年も街を彷徨って残飯を食い漁った挙句、こんな死に方をしなければならない
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