希望だったけれど叶わなくてもよかった/ホロウ・シカエルボク
床の中に居るみたいに夢うつつで、これはまるで俺の人生のもっとも端的な縮図だと、そんなことをぼんやりと考えていた、朧げなりにもそんなことが出来ていたということは、少なくともまだ自我だけは失くさないでいたということだ、そして、馬鹿げた感想に聞こえるかもしれないが、それは俺にはなかなかに喜ばしい状態であると言えた、どれだけの人間に理解してもらえるか定かではないけれど、それは実際、なかなかに難しいことなのだ、何かを落とさずに持っているとか、そういうこととは次元の違うはなしなのだから―空は晴れていたが、ちぎれる寸前まで引き延ばしたガーゼのような雲が一面に垂れこめていて、そのせいで太陽をあまり感じることは出来
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