書き換えられ続ける譜面の擦れた紙面が鳴くような音を立てる/ホロウ・シカエルボク
 
回る蔦は子供たちの思い出を語ることはない、けれど、それがあるのとないのとでは語られるものの数にずいぶんな違いが生じるだろう、蔦にはそんなものについて語るつもりは微塵もないにせよだ、現象というのはそういうものなのだ、ひとつひとつはまるで無関係で無意味であるのに、様々な要因によって、それがひとつのノスタルジーや思慕への引金になったりする、一度、自分の人生を細部にわたって思い出す機会がもしもあったとしたなら、私たちはそんな現象がどれだけ自分達の人生を虫食っているのか身をもって知ることが出来るだろう、だけど、そんな風に人生を思い返すには、私たちの能力はあまりにも心許なさ過ぎるのだ、人間はいつだって勿体ぶる
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