素体回帰/ただのみきや
 

それらの全てが失語の裾野に展開する
擬態化したエコーではなかったか
ネクタイで縛り上げたキュピトのかたちの積乱雲
甘いめまいによる脱線事故と鴎のような射精
普遍的な暴力信仰のもと死産の子として生を受け
大気に膿んだ唇は行く場所も帰る場所もなく
あなたの皮膚と問答した
ああ錯綜する水の調べ微かにずれて落ちる認識よ
バナナのように剥かれたひとつの時間
現象は口形にむりやりに嵌め込まれた
裸のノイズの背徳性
イメージによる焼印よ
こどものように素直で洗練されていない
形象による接吻が遠近法の彼方限りなく無へ傾斜して行く
過去へ放った銃弾のように
辺りいちめん羽毛は笑った
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