鬱血のアウトサイド/ホロウ・シカエルボク
ついた夜にヴァイオリン・ソナタを、臨終を見送る医師のようなヴォリュームで流してくれないかい、本当はきっと、誰もが脳髄まで届くものしか欲しくないはずなんだ、でないと人間である意味なんかどこにもなくなってしまう、いや、もしかしたらすでにそうなってしまった世界が、俺をこんなにいらだたせているのかもしれないね、眠る前にほんの僅か、センテンスは蘇生することが出来るだろうか、カオスを映し出す鏡は、一枚絵としての意味を持つだろうか、どれだけの人間がそれを受け止めるだろうか、すべての鏡はいつかは割れてしまう、そいつらが太陽の欠片以外何も写せなくなったときに、俺が彼らの墓前に添えてやれるのはどんなものだろうか、音楽
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