記憶の部屋/ふるる
かだった流れを切るように横を向いた君の厳しさ(美しさに)
僕はとても
とても困っていた
別にもう好きじゃないとどうしても言えない
どうして言えないんだろう
難しい顔で果物を選ぶ
そのわりにはすぐに食べないで
傷んでしまってから嫌々食べる
あふれるほど覚えている
泣くと筋肉を使うと言って笑った
喧嘩とか、したくないけどするかもねと言ってはふるふる泣いた
許可を得たのは一度だけだった
それで充分だった
沢山の時と日があの赤銅色の落ち葉たちのように逝った
思い(取り)出すたび少し傷む
君と同じこめかみが痛むようになっていた
君の声
身体の動かしかた
思案する
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