記憶の部屋/ふるる
 
する
泣き
笑う声
切ない間 と名がついた
記憶の部屋にはそれが大切に保存されていた
確かに、いや、
多分

それで充分のはずだった
こんなにも時が散りつもりなお
君を救うのは僕でありたいと強く願う
いくつもの楔が打ち込まれて錆びているからか
いいや
君のための特別な部屋があって
そこには君しか
入ることが許されないからだ
すぐに人を試すようなことをして
すぐに後悔してしょんぼりする
子供みたい
子供はでもこんなふうに
根気のいる細かい作業はできないし
昔に作られたものに嫉妬したりもしない
壊したりも
ふいにありがとうと言ったりも
ごめんねはあるかな
ごめんね
赤いコートで雪の中に立つ君は本当に
孤独でかわいそうできれいで
きれいで切なくて
君しか入ることを許されない部屋ばかり
増える



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