たもつ家のほうへ ? たもつさんの詩の印象 2 ?/佐々宝砂
 
あんなに喜んでいた娘を手放した
(「一杯の牛乳のために」より)

一杯の牛乳のために、一匹の牛のために、そんなことにもなる。ここまでゆくとただごとではない。妻も理解しない。娘を養ってもいられない。平和にみえる家庭は崩壊し、主人公は涙しながら牛乳を飲む。いったいなぜ、牛の絞り出す一杯の牛乳のためにそこまでするか? この場合、「一杯の牛乳」とは、いったいなんのことなのか? 「牛」とはなんだ? という問いに、わかったふうな答えをあてはめることは、意外とたやすいだろう。ゲージュツとかさ、至高のナニカだとかさ、テツガクの教科書をちょいとたぐってみればよいわけですよ、でも、私は、そーゆーことはしたくな
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