迷宮(祈り)/useless
の入らないマッサージチェアで彼女の支度を待つ
二人称が「お前」である同僚たちが耐え難く、次の職場を探し始めたばかりで
まだ人生を抜本的に更新する時期ではなく。
他のお湯に行こうか
長い支度に待ちくたびれ、返事も聞かずに歩き出す
板張りの廊下
虎の、剥製?
妙なオブジェに乾いた笑いが出るが、彼女は無言で二歩後ろから。
炭酸泉だという第二の湯へは、いったん二階に上って、
薄暗い廊下を抜けてまた降りて、さらにまた降りて
ここかな、と引違戸を開け、
ようと、
何かがいる。
急に止まった僕にぶつかり
何か言いかけた彼女も気付く
禍々しい気配
人間ですらない、な
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