だから、まるで魚が水面を跳ねるように/ホロウ・シカエルボク
に存在しているせいだ、だから本能を忘れてしまう人間はたくさんいて、まるで動物と違うからこそ自分たちは尊いのだと思いたがっている、加工された肉を食らって、味付けに注釈をつけるのがスノップだと信じている、まだ脈を打っている生肉に食らうこともないのに分かったような口をきくわけだ、笑い話だと思う、笑いこそしないけれども、そう、双眼鏡には時々余計なものしか飛び込んでこないことがよくあった、先に語ったような人間とか、おぞましいほどの美徳に心酔している人間とか、はっきりとしたことは少しも分からないけれどなにかひどく暗い風景とか、そういうもの、双眼鏡から目を離せばいっさい見ずに済ませることは出来たはずなのに何故か
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