詩の日めくり 二〇一八年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
われわれ自身の内から自然にでてくるものだ」
━━ルソー

とんでもない。

「悪に説明などつかない。これは宇宙の秩序にとって欠くことのできない一部と考えるしかない。無視するのは子供じみているし、嘆いても無意味というものだ」
━━モーム

このほうが近い。

「悪はそれ自体を正当化している。それゆえ、力、快楽、利益でさえ無意味になってしまうのだ」
━━コンラッド・ブランド

 この引用の連鎖が、フロベールの遺作とともに、ぼくに全行引用詩の構想を思い起こさせたのだった。

 1の冒頭に引用された主人公の言葉、このエピグラフに、ぼくはびっくり仰天したのだ。紹介しよう。

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