三途川/田中修子
ました。
外で遊んでいると兄が来て、竹やぶへわたしをさそいました。
兄は私の目の前で自分のものをいじって、目が宙を浮いて、白いものがポタポタとたれました。そんな日が多く続きましたが、やがて、
「おまえの父が母さんにしたことだ」
といってわたしの中にねじりこんできました。それをわたしはぼんやりと、体から浮かび上がって見ておりました。
ますます得意になって、兄は、夜、私の布団へ忍んできました。広いとは言えない部屋、奇妙な気配。神経が昂ぶって良く眠れない体質になっていた母に見つかったのは、何回目かの、ことでした。
母は、狂いました。
きらきらした人はもういません。貧しい生
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