三途川/田中修子
のものを受け入れてから、終わった後、一緒に仏様にお祈りします。
わたしはそのとき、光の中に仏様をよく見ます。それはそれは、お慈悲に富まれた顔をしていらっしゃいます。
さて、いつの頃でしょうか--
兄を、わたしはころしました。その記憶だけははっきりしています。兄は、常連とまでは言えないまでも、時にやって来てはわたしを買ったのです。わたしを折檻するのにはお金が張りますから兄にはそれはできないのですが、巧妙に、見張りの目を縫って--そうでした、わたしの片方の乳房を切り落とそうとしたのでした。ずいぶん昔に血にまみれて錆になっているような色で、グズグズになっておりました。
「母さんの乳房
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