三途川/田中修子
りがギラギラと化け物のように大きく、光っているのでした。
売られていったのは、わたしが七つの時でした。
「母ちゃん、さよなら」
わたしはそれだけを告げました。そうすると、気違いの目の光が一度引っ込んだのです、そして不思議なものを見るような目で、そしてハッとしたような目で、わたしにとりすがりました、手の甲に長く汚く伸びた爪が食い込んみます。
わたしは、ふりはらわせていただきました。
いまでも母の顔を思い出します。どうぞ幸せであってくれれば良いと思います。
わたしは十でお客をとりました。早いほうであったと思います。でも、そのことはあまり苦にはなりませんでした。
朝か
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