三途川/田中修子
 
届かずに生えているぼうぼうとした草でさえ、どこもかしこも、自然に、きらきらと息づいて輝くのです。
 「あかんぼうなのにまるで大人のような目をしている」
わたしが母の腕の中にあるころから、わたしはおとなの言葉が分かっておりました。
 多くの大人に、間違えて悪くした味噌汁のような声でいわれます。わたしはとたんにあどけなく笑うふりもしました、けれどもそういった一連の演技すら分かる人には分かったのでしょう、預かってだっこしてくれるような人はおりませんでした。
 そんなわたしを母はただ、儚く笑って優しくわたしを抱きしめ、お乳をくれたのでございます。

 わたしは母に恨まれても当然の出生です。犯さ
[次のページ]
戻る   Point(11)