第十巻七十二番/板谷みきょう
すぐさま病棟に戻り
各部屋を回り大声で
他の入院患者を
起こし始めたのだ
夜勤の医師に状況を報告すると
強い鎮静効果のある薬の
服薬指示が出たので
彼女を呼び薬を飲ませ
それから
詰所の処置台に座らせて
薬の効果が出るまで
彼女の話を聞いた
眼差しが虚ろになり始め
うつらうつらしてきたので
彼女のベッドに誘導し
介助して寝かせた
彼女の不安を取り除くために
カーテンの揺れや
夜空の月や星の位置を
指し示しながら
ボクは
「地球滅亡を避ける為に
アンゴルモアの大王と神が戦っている。
神が負ける訳が無いから安心して
休みなさい。」と告げた
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