詩の日めくり 二〇一七年十三月一日─三十一日/田中宏輔
かけになる
園の木の実を食べたアダムとイヴが
神の顔をさけて
園の木のあいだに隠れていたときのことだ
「園のなかであなたの歩まれる音を聞き
わたしは裸だったので
恐れて身を隠したのです」というアダムの言葉が
人間の最初の答えになる
最初の答えは言い訳だったのである
最初の問いかけは
神の言葉だったのか
それともイヴのいにしえのヘビに対するものだったのか
それはわからない
もしもイヴのものが最初の問いかけであったなら
最初の答えはいにしえのヘビによるものだということになる
人間同士のものが
最初の一対の問いかけと答えになっていないというところが面白い
外と中
外か
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