夢明列車より/津煙保存
 
すべてが。

(舞い降りてくるものを見ていた)
(雪ほど黒いものはと誰かの言葉を知っていた)


 
     しらなかった
    
     肩に背に、足元に額に、胸やポッケに、
     山や街、斜に吹く冬の風に従い舞い散るもの、

     手のひらのなかで消えていく、 
     うまれるようにふりしきるもの、

                    


 列車は走り出し
 鉄路を進み続けた
 無知 
 偶然 
 迷妄の鉄路を

(犬が水を掻く)
(水が犬を泳がせる)
{引用=(はみ出した
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