夢明列車より/津煙保存
 


 時は流れ、忘れ去り、笑い、思い出し、赤くなり、

 恥は現実の、
 冷静や無知についての体験、
 一つの現実そのもの。

(明かされないままに)
(さびしい改札には朱のポストに鴉が留まる)


 見知らぬ街、見知らぬ空、見知らぬ人、
 駅のホームに乗客は一人、ぼく、だったろう。

 背後には山が聳え、黒々と影をおろし、
 空の下で動かず、謎めいた、不動の三角として。
 山の視線の先には、白い街並みがあった。
 
(やがて破線も消え)


 時間があった。 
 呼吸をしていた。
 
 音楽が流れていた。
 眠りのようにすべ
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