夢明列車より/津煙保存
。
時は流れ、忘れ去り、笑い、思い出し、赤くなり、
恥は現実の、
冷静や無知についての体験、
一つの現実そのもの。
(明かされないままに)
(さびしい改札には朱のポストに鴉が留まる)
見知らぬ街、見知らぬ空、見知らぬ人、
駅のホームに乗客は一人、ぼく、だったろう。
背後には山が聳え、黒々と影をおろし、
空の下で動かず、謎めいた、不動の三角として。
山の視線の先には、白い街並みがあった。
(やがて破線も消え)
時間があった。
呼吸をしていた。
音楽が流れていた。
眠りのようにすべ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)