マッツンの十五の夜/板谷みきょう
 
馬力が全然違うから。」

その日ボクは、学生ズボンの上に
Tシャツを着てピンクのカッターシャツを
羽織っていた
鉄工場から押して貰ってかかったエンジンに
フルスロットルで飛び出し
風を受けながら農道を走ってると
まるで飛んでるみたいで
最高の気分になった

しかし
大きなカーブに差し掛かっても
スロットルを戻すことができず
道から外れて畑の中に
突っ込んでしまい
泥だらけになってしまった

「こらっ!ドコのおんちゃだっ!
オメ、西中だなっ!」

バイクを起こすのに手間取ってたら
畑で作業してたオヤジが走って来た

「関係ねぇーべよ!」

粋がって
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