マッツンの十五の夜/板谷みきょう
一ヶ月近く掛かったけど
ヤマロクもオサムもトリも
錆を落としたり磨いたりして
真っ黒なバイクが完成した
ガソリンを入れてから
「イッタが持って来たんだから
初乗りの権利はイッタだ。」と
マッツンが言ってくれたけど
大きさも操作もカブと随分と違う
「否、直したのはマッツンだから。
マッツンが先に手本みせてよ。」
怖気づいてしまったことを隠しながら言うと
夕暮れにマッツンが鉄工所からバイクを出して
走らせて一回りするとオサムが乗って
ヤマロクが乗ってトリが乗って
目をキラキラさせて頬を紅潮させながら
戻って来た
「あとは、イッタだけだ。
乗ってみ。馬力
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