マッツンの十五の夜/板谷みきょう
それから四人が深夜に
山道を走るには
それから三ヶ月が必要だった
林のブルーシートの下には
いつも四台のホンダの
スーパーカブが並んでいた
ガソリンを缶で買うことも覚えた頃
ボクは浜中町の防波堤の外側で
黒光りしたオートバイを見付けた
いつものように
家族が寝静まった頃を見計らって
拾いに行き
「カブじゃないけど…。」と
マッツンの所に持ってったら
「イッタ。これどーしたのよ?
これスズキの125ccだでぇ。
ちょっと、見てみないとわかんねぇけど
まぁ。俺に任せとけって。」
タイヤのパンクを直したり
エンジンが掛けられるようになるまで
一
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