二十一歳の呟き/板谷みきょう
 


熟れ稲の上に身を屈め
刈り入れの時期も終わる
陽が沈むと急激に寒くなる
川面に写る星明かりの慎ましき輝き
肩に止まる蜻蛉のかぼそさ
全ては自身の心情が反映した
自然描写でしかない


雑多な配色に感嘆の息を漏らす人々が
今まで不思議で仕方無かったのですが
こうして実際目前に紅葉と面していると
その美しさに眩しささえ
感じてくるのです


精一杯化粧して木立の木の葉が散り始める
忘れないで
忘れないでおくれ


振り返ると行為は若さ故のとうろうの斧


狂気の智恵子に対する光太郎の愛が昇華されて
『智恵子抄』という作品がうまれたのなら
光太
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