二十一歳の呟き/板谷みきょう
掴まえていたはずの心が
何処かで消えた
それは青色の瓶が
深い海の底へ沈んだ様に
確かに存在しているのであろうけれど
実体を掴めぬ不安の中で
以前と同じ様に
笑顔だけは飛び交う
心の中に傷を付けてしまった様だな
思い配りも未熟さのせい
眠っていても忘れられない癖に
眼醒めてる時は忘れたポーズ
演技指導は誰?
パタパタと殿様バッタが
つなぎとんぼを追いかける
力尽きて地面に落ちると
何処で見ていたのか雨蛙
晴天の下で笑い始める
町全体が黄金色に輝いている
ガスに包まれ一段と冷え込みの強い朝
なのに生きてる蝿…
蝿 蝿 …
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