二十一歳の呟き/板谷みきょう
日差しは夏を思わせ
蒲公英が満開の野原を見付けた
仕事の帰りに寄ろうとして
陽が西へ傾きかけた頃
僕を嫌悪した蒲公英の花は
みんな閉じていた
音がないはずの深夜
耳の奥で鳴り続ける鈴の音は
本来の姿だと
勝手に信じているだけの自己満足でいる
偽りの衣を身にまとっている僕への警告の様で
そんな時にふと
蛙の声突如聞こえ始める
星見上げれば雲それをはばむ様
あきれはてる程の自己に沸き立つ
我の意味の無き含み笑い
不安定な状態を何とか安定に持って行こうとする
ただの防衛的感情なのでしょうさね
蛙の声さえ 聞こえないよ
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