二十一歳の呟き/板谷みきょう
飛んだ
死ぬまで嘘をつき通そうかと思った
ねぇ
想いのやり場に困っているのさ
そんな想いは捨てちまえ
雨上がりの闇に佇む街灯の寂しさよ
青白き炎にも似た明るさに喝采を送る人の影もなし
雨雲たち込め全ては闇に包まれ
誰が為ともなく
濡れそぼりし大地を照らす事こそ哀しけれ
鯉幟は風に吹かれて
五月の晴れて澄んだ空に泳いでいる
それを見てはしゃぐ程の年でもないし
素知らぬそぶりの年でもなし
枯草野原の早咲きのたんぽぽの思いやりに
嬉しく思っている
山肌の薄桃色に咲くかたくりの花
誰に見せる訳もなく
毎年咲き乱れている
雨に打た
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