二十歳の呟き/板谷みきょう
熟さに
腹立たしさと苛立たしさを感ずる
内部から沸き出てくる
羊の肉の如く
熱き血潮の滴り落つ程に
これが若さだったとは
逆さに吊され
煙でいぶされ
真っ黒き干からびた血液
年老いる事もなく
老いをしいたげられて
全てが無の所有物と化す
想い耽る…
老いて干からびてしまったこの肉体に
カミソリの冷たく刃を当て
切り刻む事をすれば
自身も他の笑い人形同然に
ほとばしるであろう血液を
悪魔色の頭髪の全て
引き抜きたき欲望を抑え
喉元から口元へ飛び出そうな我が心臓
弛緩した口元を引き締める事により
落ち着きを取り戻す
無に帰する事の出来ぬ苦悩
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