二十歳の呟き/板谷みきょう
って言ってたあの娘が結婚したからだろう
邪よりは正を偽よりは真を悪よりは善を
なのに
勝よりは負を強よりは弱を望んで居る
勝や強でなくては正や真や善を成す事が出来ないぢゃないか
舗道を父親が歩き
その後ろを足取り危うく子が追いていく
僕は日の射さぬ部屋の中で眺めている
そこには僕の過去と現在と未来が存在している
雪が降る
肩に積もるとぐっしょり濡れた
煙草の灰はいくら落とさない様に注意しても
いつも中途でポロリと落ちる
真夜中に対象の無い恐れで
手に汗握り冷汗かいて眼醒た事ありますか
枕元に自分の心が転がってた事ありますか
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