詩の日めくり 二〇一七年十一月一日─三十一日/田中宏輔
ぼくはもう、ふとんのなかに横になってまどろんでいて
それにもう弟も子供ではなくて
当然ながら祇園の家での映像体験は
ぼくも若かったし弟も中学生ぐらいだったし
でも、もう、いまのぼくの部屋だから
ああ、もうそろそろ目がさめかけてきたなあと
なぜ弟はぼくの夢のなかで、いつも子供時代なのだろうかわからないけれど
と思っていたら
死んだ女の気配が横にして
ひゃ〜と思ったら
弟の子供時代の声の笑い声がして
それで、ぼくはなんや驚かしやがって、と思って
「なんや」と声を出したんだけど
出したと思ったんやけど
するとやっぱり、死んだ女が横にいる気配が生々し
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