詩の日めくり 二〇一七年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
ルがあると思っているわけじゃないけど。

ふたりとも、悩み事などないような顔をしていた。
ふたりとも童顔なので、笑うと子どもみたいだった。
子どもみたいな無邪気な笑顔を見せるふたりの言葉は
ぼく自身の言葉でもあった。
もうどんな言葉を耳にしても、目にしても
ぼくは、ぼく以外のものの言葉を、耳や目にしないような気がする。
ヴォネガットを読むことは、ぼくを読むことで
いまさらながら、人生がむなしいことを再確認することに等しい。
でも、やめられないのだ。


二〇一七年十一月二十六日 「死んだ女の気配で目が覚めた。」


祇園の家の裏を夜に中学生くらいの
[次のページ]
戻る   Point(13)