詩の日めくり 二〇一七年十一月一日─三十一日/田中宏輔
だけれど
ファウスト博士のように、「瞬間よ、おまえは美しい。」と言って
死ねればいいね。
そのときには、上の Crush の曲のように心地よい音楽が流れていてほしい。
土曜日に会った24歳の青年が、ぼくに訊いた。
「痛くない自殺の仕方ってありますか。」
即座に、「ない。」と、ぼくは答えた。
人好きのする好青年なのに。
なぜかしら、だれもがみんな死にたがる。
「おれ、エロいことばっかり考えてて
女とやることしか楽しみがないんですよ。」
いたって、ふつうだと思うのだけれど
それが死にたいっていう気持ちにさせるわけではないやろうに。
きのう話
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