東京五輪に足りなかったもの/足立らどみ
対策の説明は本当に十分だったか。大会開催の意義を多くの人たちと共有できていたか。自分の中の大事な部分が整理されないまま進んでしまったから、大会中も五輪とは関係のない思考や感情がたくさん出てきてしまい、心の邪魔をした。「応援することの意味とは何か?」と、いちいち考えてしまったりして、感動したいと思う心がついていかなかった。
「まな板の鯉(こい)」ではないが、観客の有無など運営面において、政治の決定の上に、ただスポーツ界が乗っているかのように見えてしまったことも少なからず影響したと思う。
結局、人は競技の結果だけでは感動しないということだ。いきなり「金メダル取りました。どうですか?」と言われても「
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