だいぶダイブ / ある女の子篇/末下りょう
たしの気持ちを読み取って、背中を押してくれて、わたしの身体を持ち上げてくれたから。
出だしの曲は予想通りマイフェイバレットで、ステージに立ったわたしはプレイするメンバーの隙間から隙間へとリフに沿ってステップを踏み、グルグル身体を回しながら踊りまくって、大好きなギタリストの肩に手をかけて笑い合った。
英国の舞踏会みたいに
激しく叩かれるドラムセットのすぐ横でわたしは立ち止まり、一瞬、目を瞑り、一つ、深呼吸した。そんで らんちき騒ぎのフロアを見据えて、助走をつけて、身体をひねり、背面で飛んだ。
走り高跳びの選手をイメージして
ダイブ
した
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