詩の日めくり 二〇一七年十月一日─三十一日/田中宏輔
 



二〇一七年十月二十八日 「谷合吉重さん」


 谷合吉重さんから、詩集『姉の海』を送っていただいた。「チェーン・ソウに剥がされた/乾いた血」だとか、意味のわからない詩句が連なり、詩篇をなしているのだが、これまたぼくには理解できない詩篇ばかり。一連の現代詩の型だ。これだけこの型のものがつくられるのだ。やはり需要があるのだろう。


二〇一七年十月二十九日 「中井ひさ子さん」


 中井ひさ子さんから、詩集『渡邊坂』を送っていただいた。事物の形象を、こころの目で見たまま、素直な言葉で書かれている印象がある。わかりにくい詩はない。心構えなどしなくても読めるやさしい詩ばかりだ
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