詩の日めくり 二〇一七年十月一日─三十一日/田中宏輔
し、数時間まえのぼくは、もういない。少し壊れて、少し錆びれて、少し遅れていることだろう。毎日、数時間この世のなかから姿を消して、壊れて、錆びれて、遅れていくことしか学べないのだ。
二〇一七年十月十八日 「阿部嘉昭さん」
阿部嘉昭さんから、詩集『橋が言う』を、送っていただいた。帯に「「減喩」を/駆使した/挑発的で/静かな/八行詩集」とあって、読んでいくと、「減喩」という言葉の意味が、多種多様な、さまざまな「喩」を効かせまくる、というふうにしか捉えられない印象を受けた。ぼくなら、「多喩」と名付ける。「静かな」といったたたずまいはまったくない。むしろ、騒々しい。その騒々しさが、詩篇
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