19のままさ/花形新次
2m右横に女の子が立っているのが分かった
あっ!と思わず声が出そうになった
彼女だった
あまりにも突然のことで
頭の中は真っ白だったが
やっとのことで声を掛けた
「やあ、Sさんだよね、久しぶり」
彼女は既に気付いていたのか冷静に
「久しぶり」と答えた
その後の言葉が続かなかった
お互い沈黙が続いた
ただ彼女がそこから直ぐに
立ち去ろうとする気配もなかった
「俺、浪人しててさ、明日共通一次なんだ」
どうでもいいことしか言えなかった
「そうなの、頑張ってね」
彼女がニコッと笑って言ってくれたのをきっかけに
俺は「ありがとう、それじゃあ」とレジに向かった
彼女はまだ同
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