19のままさ/
花形新次
だ同じ場所で何かを探しているようだった
支払いを済ませると
後ろを振り返ることなく
エスカレーターで降りて行った
「もっと何か言えたんじゃないのか!」
そう心の中で何度も繰り返していた
ひょっとしたら
俺がその店に入るのを見かけて
ついてきたんじゃないのか?
自分に都合のいいことが
頭に浮かんでは消えて行った
それが彼女にあった最後だった
人生において思い残すこと
そんな19歳の記憶の断片
彼女に好きだと言えなかったこと
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