あぶれもの/ホロウ・シカエルボク
 
からくりに過ぎなかった、あぶれものはそれをつまらないことだと思った、しきたりのために生きることは出来なかった、たとえそれがある程度人生を保証してくれるようなものだったとしても、あぶれものにとってそれは人生ではなかった、あぶれものは時々狂ったように綴り、叫んだ、その反響が自分の中で新たな命を生み出すのが楽しかった、インスピレーションは幾度も繰り返されて研磨されていくのだ、あぶれものが綴り続けるものはある意味ではたったひとつであり、己が生きる世界のすべてだった、あぶれものはもはや他のどんなものも必要としなかった、いまだ覚束ない世界の中を、内奥の堆積を引っ掻き回すことで折り合いをつけ、次の行方を模索し続
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