あぶれもの/ホロウ・シカエルボク
 
返し、やがて満足げに何処かへと興味の方向を変えていった、幼いころよりも断層は複雑さを増し、進むことは容易ではなかったが、あぶれものは知るほどに妙に楽し気に歩みを続けた、自分がそんな運命を気に入っていることをとうに知っていた、ただまれに、血の近い誰かがそのそばで、要らぬ傷を受けた時などにその胸は痛んだ、それはあまりないことだったが、そんな記憶はなかなか薄れることがなかった、同じ目、同じ言葉、同じ感情、子供用の漫画映画を見ているような気分で、あぶれものは日常を歩き、時には認識を改め、時にはやはりそうかとため息をついた、もはや糊代の外の世界になどたいした興味は持てなかった、それはただ粗雑に整えられたから
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