あぶれもの/ホロウ・シカエルボク
世界の糊代に迷い込み、四方八方、己の居場所とはまるで違う有様で、色の薄い一日が繰り返される、精神異常者が見る見境の無い夢のような日常の中で、思考は数十年放置された廃屋の窓ガラスのようにひび割れ、所々欠損していた、吾身を殴り、気を吐き、理由の分らない衝動の渦の中で、極彩色の幻を見ていた、あぶれ児、他人の知らぬ詩を知り、他人の知らぬ旋律に踊り、他人の知らぬ生き様に焦がれた、地べたを這い、擦り切れた皮膚から滲む血のにおいを嗅ぎながら、それでも世界は、それでも世界は、己と共に在った、何を喰らっているのか分らないまま顎を動かし、知を得て、血を得て、要領を失った、それが生きるということだった、擦れ、壊れ、
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