詩の日めくり 二〇一七年七月一日─三十一日/田中宏輔
えた。
(紫式部『源氏物語』鈴虫、与謝野晶子訳)
同じように見えるものを前にして、自分のなかのなにかが変わっているように感じられる、というふうにもとれる。同じもののように見えるものを目のあたりにすることで、ことさらに、自分のこころのどこかが、以前のものとは違ったもののように思える、ということであろうか。あるいは、もっとぶっ飛ばしてとらえて考えてもよいのかもしれない。同じものを見ているように思っているのだが、じつは、それがまったく異なるものであることにふと気がついた、とでも。というのも、それを眺めている自分が変っているはずなので、同じに見えるということは、そ
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